アスベストは過去において建材に使われていた危険な物質です。
既存建築物や工作物を解体・改修する場合に、石綿含有建材が使用されて
いるか否かを確認するための調査を 「事前調査」と呼びます。
「労働安全衛生法 (石綿障害予防規則)」 と 「大気汚染防止法」
により義務付けられています。

労働安全衛生法
(石綿障害予防規則)の規定

第3条 事前調査及び分析調査

事業者は、建築物、工作物又は船舶の解体又は改修 の作業を行うときは、石綿による労働者の健康障害 を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物 又は船舶について、石綿等の使用の有無を調査しな ければならない。

大気汚染防止法の規定

第18条の15 
解体等工事に係る調査及び説明等建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴 う建設工事の元請業者は、当該解体等工事が特定工 事に該当するか否かについて、設計図書その他の書 面による調査、特定建築材料の有無の目視による調 査、その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。

工事の対象範囲の建材を網羅的に調査し、石綿含有の有無を確認します。
事前調査に関連して、発注者への説明や都道府県知事等への報告などを行わなければならず、これらを法規に 基づいて実施する必要があります。
令和4年4月1日から、建築物等の解体等を行う前に実施する石綿含有建材の調査結果を都道府県等に報告する必要があります。
(大気汚染防止法 第18条の15 第6項)
調査の義務以外にも報告の義務や工事する際の掲示の義務等、様々な法規制がありますので十分に確認するよ うにお努めください。石綿障害予防規則第3条に基づく事前調査の流れ

石綿障害予防規則第3条に基づく事前調査の流れ
     調査業務     
書面調査

図書等調査
設計図・竣工図(特記仕様書・平面図・立面図等)・改修図等を参考に竣工・改修履歴、利用状況、調査上の留意点を確認します。
不明な点があれば「ヒアリング」を行います。

書面調査
平面図に事前調査箇所(部屋)をナンバリングして、現地調査を行う際の動線計画を立てます。
各室(階数・部屋名)・各部位(床・壁・天井等)ごとに行うので、設計図書から得た書面調査情報を整理した整合性の確認表を作成します。
書面調査結果をもとに実際の現場で使用されている建材を確認し、分析が必要な試料の採取を行います。

石綿含有有無の仮判定

国土交通省及び経済産業省が公表する「アスベスト含有建材データベース」等や関係機関、製造企業等が提供する各種情報を活用して石綿含有の有無を仮判定しておきます。

国土交通省「石綿(アスベスト)含有建材データベース」

現地調査の準備

上記資料の他に現地調査で必要な道具等を準備し現地調査をします。

現地調査

事前確認

周辺施設や外観、経路、建物内の状況等の確認を行います。     
書面調査結果との整合性確認、写真撮影、建材の裏面確認、劣化程度の観察等を行います。
平面図がない場合、当社で簡易的な図面の作成も行います。

試料採取

保護具や採取に適した工具等を使用し、試料を採取します。

似ている建材が存在するので、注意が必要です。
同じ階層や同じ構造というだけでは、同一建材を使用していると判断できないので

しっかりと確認していく必要があります。
色・模様等の微細な違いがある場合も同一建材と判断できない為、採取します。

片付け、清掃

HEPAフィルター付きの掃除機で採取後の作業場を清掃します。

現地調査作業終了後の作業

調査内容の整理、分析試料の整理

分析調査

アスベスト含有の不明な建材に関しては分析機関にて分析し判定をだします。

結果報告

「分析結果報告書」等必要資料を作成し「調査結果報告書」を作成、依頼者にお渡しします。